考察11【イデ=哲学】

イデオン デザインラフ
イデオン デザインラフ

前述の様に、類似した神話や英雄譚は有っても、我々の地球にはバッフの様に『イデ』の名を明確に冠する物語は伝承されていません

けど、地球人は全く別の形で大昔からイデという言葉を使っていました


それは古代ギリシャ語で「姿形、見えているもの」を意味する単語『idea』に由良する『イデア』という言葉です


紀元前3世紀の哲学者プラトンは「魂(psyche)は不滅であり輪廻転生を繰り返す」と説き、その考え方は様々な宗教の根本的思想として、二千年以上経過した今も世界中の人に認知されてますが、そのプラトンの哲学の中にイデアが登場するのです


「人は皆、霊界に居る時に『美・正・善の真の形』であるイデアを見ているが、現世に生まれる時に『忘却(レテ)の河』を渡る為、それを忘れてしまう

現世で人が物事を見て真実を知ろうと欲求するのは、霊界でのイデアを思い出そうと欲するからだ」

とプラトンは唱えます

その後プラトンの弟子のアリストテレスが更に掘り下げて『イデア論』は大きく発展して行きます


プラトンの時代から500年後のプロティノスは「万物は善のイデアから流出した」と説き、18世紀のカント、ヘーゲルの時代になるとイデアは『イデー』と発音され、「純粋な理性概念」「絶対的世界理性」等の意味を持つ事になります


そして現代

我々日本人も、実は日常的にこのイデアを根源とする言葉を使っています

ギリシャ語のイデア=『idea』は、英語の『アイデア』と同じスペルなんです


バッフの人々にとってイデ伝説が精神的バックボーンであった様に、我々地球人もイデアという言葉に執着し、哲学的にその意味を探求し続けて来た事が分かります


さて、地球人類の歴史上(恐らく)初めてイデアにアカデミックな意味を持たせたプラトンですが、彼の思想の根源は師・ソクラテスが実践した『philosophy(愛知)』で、これは『良く生きる事』を意味します

『善き心によってイデは発動する』というバッフのイデ伝説と、教訓の意味合いは同じです

そしてphilosophy(愛知)とは『死の練習』であるとも唱えました


地球とバッフの人はイデの力によって生み出され文明人に進化したが、その記憶の多くを忘れてしまった

もう少し先の未来、イデの眠る星に辿り着ける科学レベルに達するまで『善き心』を育てて現世での努力を重ねて行く


プラトンの教えは、正にイデの意思を代弁しているかの様に思えます


最後に、日本アニメ史に残る不滅の名曲『コスモスに君と』の3コーラス目の歌詞にこんなフレーズが有ります


"死んだ後でも、いつか見つかる

生き続けたら、君は悲しい"


必死に生きようともがき続ける主人公達の悲壮な行末を予感させる様な歌詞ですが、プラトンのイデア論に当てはめて読むと、その意味性が更にハッキリ見えて来る様な気がします