考察9 【イデ】

イデオン
イデオン

 さて、前項で述べた通り異星人同士の接触、それも姿形や文明レベルが偶然同じ種族同士の遭遇自体が、絶対に有り得ないという前提の中で、地球とバッフの人はソロ星という場所で遭遇します  

何故か?

これは偶然では無く、全て『イデの意思』により行われたからなのです


イデオンという作品を難解にしてしまっている最大要因が、このイデの正体じゃないでしょうか?  


本項ではイデについて、ぶっちゃけようと思います

テーマの本質に触る部分なので視聴中の方や、これから観ようとしている方は読まない方が良いかも知れません


イデとは、地球人類発祥以前に第六文明人が開発したエネルギーシステムその物で、その正体は知的生命体の『意思』をエネルギーに転換する、という代物です

第六文明人はこのシステムの『試作品』を、兵器として造られた人型マシンと、その運搬用宇宙船に搭載しました

ところが、その試作品を稼働させた瞬間に、第六文明人は全滅してしまったのです


生まれたばかりの赤ん坊の様なイデは、学習の機会を与えられる事無く、全ての第六文明人(もしかしたら、その時宇宙に存在した全ての知的生命体)の意思を吸い取り、全滅させてしまったんです

この理由について「悪しき目的の兵器として造られた事に怒って、ワザと全滅させた」なんて説も有った様な気がしますが是非は分かりません

僕的には単純に加減が分からなかっただけ、という考え方を支持します


この状況に一番戸惑ったのはイデでした

イデは最初から人に使われる『道具』として造られたので、己が己として存在する為に、自分を正しく使ってくれる知的生命体が必要な訳です

そこでイデは、第六文明人に似た知的生命体を作ろうと考えます


いくらイデでも神様みたいに粘土からいきなり人を作る事は出来ないので、進化に適した惑星にその因子(種)を蒔き、その生物がイデオンやソロ・シップを使いこなせるだけの充分な科学レベルに達する迄、数十億年待たなければならない

それだけ待って、その文明人が勝手に滅んでしまったら?或いは自分を正しく使ってくれなかったら?

そう考えたイデは保険をかけます

2つの別々の星に同じ知的生命体の種を蒔いて、最悪どっちかがより良く自分を使ってくれる人類になってくれたらいい、と考えました

その2つの星が、我々の地球と、バッフの地球だったのです

そして2つの種はそれぞれイデの記憶を遺伝子の中に有しながら順調に進化していきました

つまり、地球とバッフの人は同じ『第六文明人の種』を根源にして、同じ時期に進化を開始した同一種類の人類な訳です


そしてそれぞれの文明人は絶滅する事無く、恒星間航行を可能にする迄に進化した為、イデは2つの文明人を自分の元に呼び寄せます


バッフの星と同様に地球にも数年前から流星による被害が発生していて、それと関連が有るか否かは不明ですが、移民可能な星としてソロ星を発見

移民開始から3年が経過し、イデオンとソロ・シップを発掘した直後にバッフのイデ捜索隊と遭遇


我々地球人類の誕生も、知的生命体としての進化のプロセスも、この『遭遇の為だけ』にイデに仕組まれた、数十億年に及ぶプログラムだった訳です


こんな『あんまりな』設定、表向きは『子供向け巨大ロボットアニメ』のTV放送で認められるのでしょうか


この『壮大』且つ余りに『絶望的』な設定を知った時、イデオンという作品は僕の中で『信仰』に変わったのでした