考察 3 【第六文明人の遺跡】

イデオン立像  ラフ画
イデオン立像 ラフ画

ソロ星への移民が始まって間もなく、この星ではとんでもない物が発掘されます

それが後に『イデオン』『ソロシップ』と名付けられる『第六文明人の遺跡』です

何故『第六』なのかと言うと、この時点までに人類は地球外異種文明の存在を裏付ける事象に5回遭遇していて、ソロ星の遺跡で通算6回目、だからです

過去の遭遇については、大昔に滅んだ文明(恐らく機械文明以前の文明)の朽ち果てた遺跡を発見した、と言う物も有れば、移民船だか輸送船だかが正体不明のアウトシップに撃沈された(『輝きのコンタクト事件』)と言う物も有りますが、何れも異星人の姿を見た、喋った、捕まえた、みたいなハッキリした物では無かった

ところがソロ星の遺跡は、明らかに高度な科学文明を持つ者によって造られたメカニズムで、相当古い時代の物であるにも関わらず、新品同様の状態で地面の下に保存されていた訳だから、正に世紀の大発見と言えます


これらマシン以外には、ソロ星には文明が存在した痕跡は皆無なので、他の星の異星人の手によって作られて運び込まれた物であろう事は分かっていましたが、その異星人その物の姿や、母星を特定する物は見つかりません


イデオンのメカは発掘時点ではロボットではなく、3台の車輌形態(超巨大な装甲車)に分かれた状態でした

当然発掘した地球人達はそれが変形して人型のロボットになるなんて知りません

やけに内部に無駄な空洞が多いメカだな、位の認識だったでしょう


因みに第六文明人は、我々地球人よりかなり身長が高かかったって設定です

イデオンのコクピットや、ソロシップの通路やらブリッジやらが無駄に広いのはその為


イデオンの各メカとソロシップに技術者がコントロールパネルを取り付けて起動させようとしても全く動かなくて四苦八苦しますが、発掘スタッフのユウキ・ロウル博士の息子、『ユウキ・コスモ』と、その弟分の『アクタ・デク』ら、子供が乗り込んだ際に『イデのゲージ』と名付けられた大きな丸いパネルに反応が出ました

このパネルに映し出される模様のパターンを分解して適当に並べると、ギリシャ語で『イデオン』と読めなくもない、そんな理由でこれらのメカは『イデオン・メカ』と呼ばれる事になりました

この名付け主は言語学者である『フォルモッサ・シェリル』女史

ソロシップは、反物質エンジンと核融合エンジンを搭載したアウトシップだという事が明らかだったので、ソロ星の船、でソロシップの名前が付けられた訳です


因みに、企画段階のイデオンの作品コンセプトは「移民星を追われた少年、少女達が宇宙船で色々な星を巡る冒険活劇」的な内容だった事も有り、主人公達の宇宙船の名前は当初、1620年に実在した移民船に因んで『メイフラワー』という名前でした

放映前に発刊された当時のアニメ雑誌に、新番組告知として紹介された際はまだ『メイフラワー』のままだった様な記憶があります

これも曖昧な記憶だけど、メイフラワーが他のアニメか玩具商品の名前と被るから、的な理由でボツになり、直前でソロシップに変更されたんじゃなかったかな

そう考えると、ソロシップって安直なネーミングは確かに急造っぽい気がします


これまた因みに、この時代の地球人の名前は、最初が苗字で後が名前、つまり現代の日本と同じ順番で、西洋のそれとは違います

主人公はユウキ・コスモ

ユウキさんちのコスモ君

この辺が他のSF作品と違うとこで、富野大先生特有の罠の匂いがプンプンしますが、未だちゃんとした解釈は明示されてません


さて、移民が始まって間も無いそんなソロ星に、『バッフ・クラン』がやって来て、悲劇の物語は幕を開けるのでした